立山20162016/05/23 14:12

雷鳥沢全景~今年はテントも少なめ 

今年は20年ぶりくらいの寡雪年である。山スキーシーズンに入っても、なかなか藪が隠れてくれないために、計画中止が相次いだ。このため、今年のゴールデンウィークは早々と立山に決定して、雷鳥荘に予約を入れた。どんなに雪が少ない年でも立山だけは例外だからである。過去の経験では、こういう年は八甲田山や北海道でも雪が少なくて、残雪にたどり着くまでに藪漕ぎを強いられている。
 気象条件が山スキー向きでない年であることに加えて、福島原発事故以来の放射能汚染調査や脱原発運動のために多くの時間を割かれて、なかなか山スキーに行けなくなっているという個人的事情が重なり、今年は4月までにたった1回(黒姫山と高デッキ山)しか山スキーに行けていない。そこでゴールデンウィークに一気にそれを挽回しようと、連続7日間の計画を立てた。前半は白馬連峰、後半は立山連峰である。ところが、白馬入山の3日前に畑仕事の最中、久しぶりにぎっくり腰の発作に襲われてしまった。急遽、白馬の予約をキャンセルし、5月1日から5日までの立山だけに計画を縮小し、ひたすら安静につとめて腰の回復を図った。

立山2016(2)2016/05/23 14:16

雷鳥荘玄関前から奥大日

コースタイム
5/1 (地上は晴れ、立山は濃霧) 名古屋8:00-(東海北陸道)-13:00立山駅13:30-14:30室堂ターミナル15:00-15:40雷鳥荘

5/2 (晴れ) 雷鳥荘(2380m)8:45-8:50テント場(2280m)9:12-11:07一の越(2705m)11:30-11:40御山谷の大岩(2350m)11:56-13:20一の越14:10-14:19スケッチ休憩(2520m地点)14:34-14:56テント場(2280m)15:05-15:34雷鳥荘

5/3 (晴れ、風強し)雷鳥荘(2380m)7:30-7:40テント場(2280m)8:01-9:06雷鳥沢2480m地点9:16-9:56雷鳥沢2600m地点10:08-10:30雷鳥沢2350m地点11:23-12:29真砂尾根2560m地点12:40-13:00テント場(2280m)-13:30雷鳥荘

5/4 (雨のち曇り、そして晴れ、風強し)雷鳥荘(2380m)8:55-9:10テント場(2280m)9:19-11:52山崎カールローソク岩直下エンドモレーン(2800m)12:09-13:02山崎カール出口(2400m)13:31-13:46テント場(2280m)14:00-14:30雷鳥荘(2380m)
5/5 (濃霧) 雷鳥荘(2380m)8:00-8:40室堂ターミナル(2450m)9:00-9:50浄土山の肩の展望台の手前(2650m)10:00-10:20室堂ターミナル11:00-12:30立山駅13:20-14:00道の駅にて昼食15:00-20:00名古屋

立山2016(3)2016/05/23 14:22

浄土山

5/1 東海北陸自動車道の渋滞があって、立山駅まで5時間を要した。痛めた腰をかばって30年ほど前に作ったコルセットを巻いたが、それでも運転はなかなか大変だった。さて駐車場は空いているだろうかと心配しながら駅にいちばん近い駐車場をのぞいてみると、幸いにもガードマンが手招きして入れてくれて、すぐにスペースが見つかった。身支度する前にチケット売り場に行くと、10分後のケーブルに乗れるという。それでは準備が間に合わないので、30分後のチケットにしてもらった。板と荷物を背負って改札に行くとケーブルの職員が近寄ってきて、今年から荷物代がなくなったが、その代わりにスキーケースが必須条件になったのだという。ケースがない場合は、300円のビニール袋を買ってくれという。我々は二人だったが、2本が同時に入るので、二人で1枚買えばよいという親切な案内で、なんと袋に入れるところまで手伝ってくれた。
 美女平からバスで高度を上げていくと次第にガスが濃くなり、室堂ターミナルに着くと視界は10mほどしかない。標識と竹竿やロープをはずさないように、また、腰が不安なので絶対に転ばないように、ゆっくりとホワイトアウトの中を進んだ。みくりが池山荘の裏を回って下りかけると、携帯電話で何やらしゃべりながら立ち止まっているカップルに会った。聞けば雷鳥荘に向かったがルートに自信がなくて、途中で引き返してきたところだという。電話で話しているのは雷鳥荘のフロントで、迎えに来てほしいと頼んでいるところだったのだそうだ。我々も同じところへ行きますから一緒に行きましょうと彼らを先導して、雷鳥荘に向かった。
 床暖房が利いた部屋に荷物を置いて、早速風呂(天然温泉)に入り、夕食まで談話室の薪ストーブの横でゆったりと山の本を読む。雷鳥荘はまだがらがらで、夕食の食堂は半分程度しか埋まっていなかった。

立山2016(4)2016/05/23 14:26

一の越から見上げる御山

5/2 雷鳥荘の朝食は6:00から食べることが出来る。それでも今日は二人だけなので、ゆっくりと準備して、遅い出発となった。雷鳥荘からテント場に下る斜面は例年だと前日の足跡やシュプールがそのままカチカチに凍っていて、洗濯板の上を滑るような不愉快な滑走になるのだが、今日は柔らかくて快適に滑り降りる。昨夜のガスで放射冷却が起きなかったことと、温かい気団がやってきたことが効いているらしい。気温は高めで、風が無く快晴に近い晴天である。
 まだ腰の調子が心配なので、ゆっくりと一の越に上がってみることにした。テント場から南東に進んで夏道が通っている小さな尾根(2358mの補助点有)に取付き、その稜線を進むと山崎カールの最下段のエンドモレーンにぶつかる。ここから御山の斜面を斜上して真っ直ぐに一の越に達した。昔、小学生だった子どもたちを連れて雨上がりでカチカチに凍結した斜面にピッケルでステップを切りながら上がったルートである。

立山2016(5)2016/05/23 14:30

一の越から北アルプス全景

一の越は必ず風が吹いているところであるが、今日はそれも緩やかである。ゆったりと眼前に広がる北アルプスのほぼ全容を楽しむ。真ん中奥には槍ヶ岳と北穂、奥穂が見える。その右手に笠が岳が独特な姿を見せている。さてどうしようか。このままシール登降を続けて、龍王と浄土山の間の谷を滑るのも悪くない。御山の南斜面を滑るのも魅力的である。しばし迷ったが、やっぱり自重して御山谷を滑って登り返すことにした。今年は雪が少ないので下山時にこの谷を滑って黒部ダムの水面まで下降し、夏道をたどって黒四ダム堰堤まで歩いてトロリー―バスで扇沢に出ることができないので、せめて御山谷上部を滑っておくのは悪くないのである。
 滑り出すとすぐに、今日は素晴らしい雪質、フィルムクラストであることがわかる。柔らかいが表面にうっすらと氷のフィルムが付いた状態で、スキーが滑らかに曲がってくれる。その快適な滑りも、標高を300m下げると、どんどん重たい雪に変わってきた。そこで、標高2350mの大岩で滑走を終了し、シールを貼って一の越まで登り返した。
 あとはのんびりとテント場まで滑るだけ。すぐに着いてはもったいないので途中でスケッチしたりお茶したりして下った。雷鳥荘の戻って風呂に入り、ビールを飲んで談話室の薪ストーブの横で本を読んでいると、やがて後発組の7人が到着して、途端ににぎやかになった。