パブコメを出そう!福島第一原発から汚染水を流すべきではない(3)2020/05/11 12:34

1)公聴会でなく参加者限定「ご意見伺う場」ではいけない
 「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」(以下ALPS小委員会)は、海洋や大気へ放出することが現実的であり、海洋放出の方が確実に実施できるとする報告書を今年2月にまとめ、これを受けた経産省は、4月6日と13日に福島市および富岡町で「関係者の御意見を伺う場」を開催し、経産省が指名した自治体や産業団体などの代表からの意見を聴取した。一般市民の参加を拒否したのである。3年前(2017年8月)はALPS小委員会が公聴会を実施し、漁業関係者も含めた多くの参加者から「陸上長期保管を行うべき」という意見が表明されていた。しかし陸上保管案についてさしたる審議をしないまま、海洋又は大気放出案に絞り込まれて、参加者限定の「伺う場」が設定されたのであった。そして、「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会報告書を受けた当社の検討素案(以下「素案」と略記)」が発表された。新型肺炎コロナウィルス禍をよいことに、拙速に広く国民、市民の意見を聴くことなく重大な決定をしてはならない。

2)トリチウムの総量は2000兆Bq超である
 東電素案に対して環境NGO・FoEや超党派議員連盟・原発ゼロの会からの数度にわたる質問状が出ており、これに対する回答の中から新しいことがわかってきた。タンク内に貯蔵されたトリチウムの総量は860兆Bqであるが、原子炉建屋内に存在する汚染水中のトリチウムを加えると2000兆Bqを超えるのである。このうちとりあえず、放出を予定しているのはタンク内の860兆Bqだ。事故以前のBWRのトリチウム放出量管理目標値は1基当たり3.7兆Bq/年なので、第一原発6基分で22兆Bq/年の排出権があると考えているようだ。海洋放出の場合、海水中のトリチウムの告示濃度限度(水1L中6万Bq)に対して、「地下水バイパス」及び「サブドレン」の運用基準(水1L中1,500Bq)を参考に検討するとしている。つまり、6万Bq/Lが基準だが、1500Bq/Lに希釈して流すからいいだろうというわけである。

3)しかし、事故前のトリチウム放出濃度は1Bq/L以下だった
 事故前の福島第1原発で6基がフル稼働していれば、温排水は毎秒400トンほどである。木曽川の渇水期の河川維持流量が今渡頭首工で毎秒100トン、馬飼頭首工で毎秒50トンであることと比べると水量の多さを実感できる。この温排水で希釈されていたので、目標値である年間22兆Bq放出しても実質濃度は1~2Bq/L程度、実際の放出総量実績(2010年)2.2兆Bqなら0.1~0.2Bq/Lに過ぎなかった。このことを言わないで、すまし顔で6万Bq/Lのところ1500Bq/Lに希釈しますというあたりが不誠実なのである。

4)30年間流しっぱなし
 860兆Bq(平均トリチウム濃度約70万Bq)を年間22兆Bqずつ流すとすると、単純な割り算で36年間かかることになる。トリチウムの半減期が12.3年なので保管中も減衰するので放出期間は短くなるようにも思われるが、1000兆Bq超の原子炉建屋中のトリチウムがなおも汚染水となって出続けるので放流期間の短縮は望めない。毎秒0.5立米ほどの汚染水が出続けるのである。この事に対する国民への情報提供は不十分である。

5)汚染水は放出せず、少なくとも100年間以上陸上保管すべきである
 汚染水は10万トン級の大型タンク、またはモルタル固化による半地下方式で陸上保管すべきである。この事は民間シンクタンクである原子力市民委員会が具体的な検討のもとに提案している。そのためのスペースは第一原発敷地内の北側「土捨て場」とされているところに十分にある。さらに、原発サイトを囲んで16平方キロの広大な中間貯蔵施設用地がある。大熊町民から自分の土地を提供しても良いという声も上がっている。123年間保管すれば、トリチウムは1000分の1まで減衰する。

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