八甲田山(写真)2006/05/29 09:44

小岳と高田大岳
八甲田山随一といわれる高田大岳東南斜面は画面右端のスカイライン

八甲田山2006(写真2)2006/05/29 21:26

櫛ヶ峰に向かう途中、駒ヶ峰の登りで鳳凰の形をした彩雲(Illidecent Cloud)を見た。
櫛ヶ峰に向かう途中、駒ヶ峰の登りで鳳凰の形をした彩雲を見た。ブログにあげるために画素数を落としたこの画面では、残念ながら雲の着色が不鮮明。

八甲田山(櫛ヶ峰・猿倉岳ルート図)2006/05/29 21:44

睡蓮沼から櫛ヶ峰~猿倉岳
睡蓮沼から櫛が峰~猿倉岳~猿倉温泉

八甲田山2006(大岳~高田大岳ルート図)2006/05/29 21:48

八甲田ロープウェー~大岳~高田大岳~谷地温泉
八甲田ロープウェー~大岳~大岳東斜面~高田大岳~高田大岳東南斜面~谷地温泉

八甲田山2006(5月連休山スキーの記録)2006/05/29 23:56

高田大岳から大岳の東斜面を望む。大岳の右側は井戸岳、赤倉岳
八甲田山2006


 今年のゴールデンウィークは八甲田山に決まった。昨年は立山、一昨年は槍ヶ岳だった。6~7年前に八甲田を選んだ時は記録的な雪不足で、雪面に出るために藪こぎを強いられたものであったが、今年は例年になく残雪が多いので何の心配も要らない。むしろ、4月中旬から後半にかけて各地で新雪雪崩などで遭難者が続出し、二桁の死者が出ている。

メンバー:浅井、北島、徳島、池谷、川角、石橋、釈、大森、藤田、林、(田中ゆきな、田中大介)、大沼&大沼

コースタイムと感想:

<城ヶ倉ルート>

5/2(うす曇)名古屋・中部空港(集合7:00)7:50-9:10青森空港9:30―(青森観光シャトルバス:1200円)―10:30ホテル城ヶ倉12:10-12:20八甲田ロープウェー下駅(660m)12:30~12:40上駅(1320m)12:50-(ダイレクトコース)-13:25下駅13:50~14:00上駅14:16-(中央コース、城ヶ倉コース)-15:10ホテル城ヶ倉(890m)
 家を出たのが5時40分。大森さんの車に乗せてもらって高速道路を乗り継いで空港へ。
名古屋空港が廃止になって中部空港になってしまってからは早起きが必要になってしまった。飛行機の窓からは珍しく、北アルプスの山々や鳥海山を見ることができた。青森空港からは、予約しておいたシャトルバスで城ヶ倉へ(一人1200円)。乗客は我々だけであった。
 ホテルで昼食を食べた後、ホテルの車でロープウェー駅まで送ってもらった。田茂萢岳山頂からは薄曇ながら眺望が良く、真っ白な岩木山の秀麗な姿がひときわ目を引いた。まずは足慣らしに、ダイレクトコースに入ってみた。こぶだらけになっていておもしろくないので、コースをはずして林の中を滑ってみたがさして面白くはなかった。
 再びゴンドラに乗って山頂駅へ。今度は中央コースを経て城ヶ倉コースを降りる。厳冬期にガイドツァーで滑ったことがあるが、その時はホワイトアウト状態で何も見えなかった。しかし今日は見通しが良くてはじめから城ヶ倉ホテルが見えているし、頂上から酸ヶ湯コースとの分岐点のあたりまでは竹竿が立ててあって、後半は金属プレートが貼ってあるので何の問題もない。山頂駅からほぼ真南に滑り、寒水沢を越える。竹竿は大岳側の急斜面の裾をトラヴァースしているが、我々は少しだけ寒水沢に沿って滑ってから毛無岱に入った。毛無岱に入ってから台地状の雪原を右手から左へと緩やかに回り込むように進むと、やがて沢筋が明瞭になり、その沢底に城ヶ倉コースが付けられていることがわかった。大斜面や急斜面があるわけではないが、思ったよりも斜面が多くて、楽しく滑ることができた。
 
< 大岳~高田大岳ルート>
             
5/3 (快晴)ホテル城ヶ倉8:20-八甲田ロープウェー下駅8:40-8:50上駅(1320m)9:10-9:30大岳取り付き点(1215m)9:40-10:30大岳ヒュッテ(大岳井戸岳のコル1430m)-10:45大岳の肩(1500m)11:00-(ビデオ撮影)-11:35沢底(1200m)11:45-12:00小岳高田大岳のコル(1280m)(昼食)12:35-13:30高田大岳(1552m)13:50-14:20 休憩(1175m地点)15:00-15:30谷地温泉(785m)16:58-(JRバス)17:30ホテル城ヶ倉
  
 絶好の天気、今日は今回のプログラムのメインイベント、高田大岳の東南斜面滑降を目指すことにした。ホテルのバスでロープウェーまで送ってもらい、一番ケーブルで山頂駅に立つことができた。陸奥湾の先、右手には恐山、左手には秀麗な岩木山、その左手には白神山地が美しい。
 まずは赤倉岳と田茂萢岳の鞍部を目指し、鞍部からは南に向かう広い谷底めがけて滑り込んだ。谷底から井戸岳をへつるようにスケーティングでトラヴァースし、左から来る3本目の沢にぶつかったところでシールを貼って、大岳ヒュッテ目指して登高を開始した。つぼ足でピッケルのパーティー、スキーを担いでつぼ足のパーティーと相前後して登ることになった。この時期の八甲田は様々なスタイルの人々が来ている。
 鞍部に建つ大岳ヒュッテは新しく、堂々たるログハウスである。その前を行過ぎて、箒場岱方面を見下ろすところまで進んでしばし思案したあげく、当初の予定であった小岳頂上を越えるのをやめて、大岳の豪快な東斜面を一気に谷底まで滑り、高田大岳と小岳とのコルへ登り返すことにした。その前に大岳の肩まで高度を上げてからシールをはがした。
 買ったばかりのビデオカメラを背負ってきた大沼(章)が先に滑って谷底で待ち、一人ずつ滑った。落差300mの大斜面を独り占めである。スタート直後はやや重であったが、中盤からはフィルムクラスト気味で実に気持ちが良いターンが決まり思わず声が出てしまう。
 高田大岳の登りは次第に傾斜が増してくるとともに木が込んできてシールでは登りにくくなる。浅井千恵さんだけが最後まで頑張ったが、他のメンバーは途中でスキーをザックにくくりつけて登った。つめの登りは雪がなくて、夏道を15分ほど登って頂上に着いた。小休止していると徳島さんの娘さんである新婚ほやほやのゆきなちゃん、その連れ合いの田中大介クンが登ってきた。ゆきなちゃんとはキリマンジャロ登頂以来の久しぶりの再会である。
 頂上から20mほど下ったところがスタート地点。いよいよ待望の高田大岳の大斜面である。尾根筋はすでにかなりの数のシュプールが付いていてスキー場みたいになっている。左手の沢筋は急だがシュプールが付いていない。しめたとばかりに滑り込む。雪質はフィルムクラスト状態で何の不安もない。みんなも思い思いのラインどりで滑り降りてくる。全員笑いが止まらない状態である。
 沢筋をこのまま進むと滝場があるらしいので、1175m地点で雪庇の切れ目から尾根筋に戻った。あとは広くなった尾根を夏道に沿って滑り、最後はやや密集したブナ林滑って谷地温泉に滑り込んだ。ひなびた温泉宿の風呂は芋の子を洗うような混雑だったが、泉質(やや白濁した硫化水素泉)が良く、入ったのは正解。ただし、スキー靴をもう一度履かないといけないのが玉にキズ。汗まみれのシャツを着て最終のJRバスに乗って城ヶ倉に戻った。
 
<睡蓮沼~櫛ヶ峰~猿倉岳~猿倉温泉ルート>

5/4(快晴) ホテル城ヶ倉9:00-9:10睡蓮沼(980m)9:24-10:00休憩(1085m地点)-10:40休憩(1235m地点)-11:55駒ヶ峰(1416m)-12:00駒ヶ峰西峰(昼食)12:20-13:20櫛ヶ峰(1516m)13:40-14:00大斜面の基部(1320m)14:20-15:00ニセ駒ヶ峰と駒ヶ峰との鞍部(1340m)15:15-15:40猿倉岳(1353m)15:50-16:00大斜面基部(1060m)-16:20猿倉温泉(835m)17:02-18:00城ヶ倉
 今日は待望の南八甲田山域に足を踏み入れる。5~6年前に来た時は雪が少なくて、硫黄岳の斜面を滑ろうとするだけで藪こぎが必要だった。まして南八甲田は藪のかなた、はるかに櫛ヶ峰の大斜面が白く光っているのを遠望しただけであった。
 ホテルのガイドツアーが高田大岳に行くというので、睡蓮沼まで同乗させてもらったせいで出発が遅くなった。今日は酸ヶ湯温泉に泊まっている大介クンとゆきなちゃんも加わって総勢14名。ガイドツァーも顔負けの大パーティーである。
まずは西へ進んで傘松峠からニセ駒へと伸びる尾根に上がり、尾根伝いに南南西の方角、ニセ駒を目指して進んだが、風で出来た起伏が多くて歩きにくい。ホワイトアウトしていれば別だが、尾根の東側の広い沢底を直進したほうが楽であったと後悔しながら尾根を進んだ。
 この沢が終わって、オオシラビソがまばらに生えて、ゆるやかで広々とした斜面に出たあたりから進路を南西へと変更し、ニセ駒に登らずにニセ駒と駒との鞍部に出た。予定では、ここから駒ヶ峰の北面をトラヴァースするつもりであったが木の密度が高すぎて歩きにくそうであったので、尾根筋に忠実に駒ヶ峰に登った。眼前にはあこがれの櫛が峰東斜面が堂々たる全容をみせている。斜面の上部右側に大きなクレバスが口を開けている。頂上から3本の直滑降シュプールが見えてびっくりしたが、近づいてみると尻セードの跡であることがわかった。
 駒の西側には滑って楽しい斜面はなく、シールを付けたままで下りるしかなかった。それを下りるといよいよ櫛ヶ峰の登りである。取り付いてみると見かけほどの斜度がなくて、ほとんどシールで直登出来てしまう。ピークを見上げて右手の尾根の3分の2ほどの高さを目標に直登して、あとは尾根伝いに登った。
 広々とした頂上に立つと、遙か南方に岩手山の姿が確認出来た。結構風が強い。犬を連れて登ってきた女の人が、歩こうとしない犬をえいとばかりに担ぎ上げて滑り出したのにはびっくりした。
 さて、いよいよ滑降である。登りながらねらってきたベストラインは頂上から真っ直ぐに下りている幅広い尾根の南側の谷である。ほとんどのシュプールは尾根と北側の谷につけられていて、南側は無垢のままで残っていたからである。そのことを全員に伝えたはずだったが強風のために聞こえなかったのであろうか、頂上から直接に北側の谷に滑り込むラインを選んだ藤田さんにつられて北に移動して、尾根の途中から北側の谷に滑り込んでいってしまった。やむなく単独で南側の谷に滑り込んだが、これが実に素晴らしい。最高のフィルムクラスト、適度な斜度を持った幅広の大斜面に矛盾のないシュプールを刻むことが出来た。滑り終わって振り返った時の満足感も最高。
 大斜面の基部で集合して休憩。そろそろ時間がおしてきている。このまま猿倉岳までとどくかどうかがあやしくなってきた。みんなの疲労のことも考えておかなくてはならない。だめならニセ駒から睡蓮沼へ戻るしかない。シールを貼らずに両用の構えでスタートした。駒ヶ峰の南側のトラヴァースにかかると、木の密度も適当にまばらで快適な斜面が続いている。北側とは大違いである。往路もここを通れば登らずにすんだはずである。ヒールをフリーにすると、シールを貼らない方が軽快に進む。緩やかな登りのはずであるが、全く問題ない。予想よりも早くニセ駒との鞍部に到達することが出来た。
 ここからは尾根通しでニセ駒の頂上に登ったが相変わらずシールは貼らないでヒールフリーのままでの登行である。ニセ駒山頂からはクラウチング姿勢で猿倉岳目指して直滑降。最後の登りも問題なく、予想外に早い時間に猿倉岳に着いてしまった。ここから猿倉温泉へは二つのルートが考えられる。尾根を忠実に滑るものと、東斜面を矢櫃萢まで滑ってから夏道のある雪原を進むものである。ほとんどのシュプールは尾根伝いに付けられている。東斜面の上部にはクレバスもある・・・。少し迷った末に、やっぱり豪快な東斜面を滑ることに決めた。
 滑り出してみると、斜度は櫛ヶ峰よりも急で、かつ落差も大きい。こちらを選んだ満足感に浸りながら、約300mの落差を一気に滑ってしまった。疲労の色が浮かんでいたメンバーの顔も、大斜面を滑れた満足感で満面の笑みである。矢櫃萢からの雪原も心配したほどのことはなく、スキーがよく滑ってくれてあっという間に猿倉温泉に着いてしまった。温泉では東京スキー協会所属スノーモンスターの面々と会うことが出来た。
 またしても最終のJRバス。今日は超満員で荷物の積みおろしや人の乗り降りで大幅な遅れ。城ヶ倉まで1時間もかかってしまった。

<横岳ルート>

5/5(小雨・強風)ホテル9:00-9:10横岳取り付き点(750m)9:18-10:38(1200m地点)10:53-11:10昼食とビーコン訓練12:30-12:40国道12:50-13:00城ヶ倉

 天気予報通りに雨。朝風呂にいくと風も強いことがわかった。この分では滑り残した小岳から猿倉温泉の斜面は無理だろう。どこにしようか・・・。林クンと池谷さんは今日は弘前城の桜見物に行くという。ホテル玄関に貼り出されたガイドツァーの予定表には横岳と書いてある。そのうちに風速34mで八甲田ロープウェー運休の張り紙も出てしまった。やっぱり・・・。我々も横岳に行ってみようということになり、宿に相乗りで取り付き点まで乗せてもらうように交渉した。
結局、宿のガイドツアーは中止になり、我々だけが取り付き点まで送ってもらえることになった。城ヶ倉大橋を渡ってしばらく進み、スノーシェルターをくぐったあたりが取り付き点だった。帰りのお迎え時間を午後1時で予約していざ出発。今日は総勢10名である。
ブナ林が強風でごぉーごぉーとうなりをあげている。しかし、林の密度が高く、樹高も高いので体に感じる風はさほどでもない。はじめは密だったブナ林も適度な樹間に変わり帰りが楽しみな斜面になった。どんどん登ってゆくと、やがてブナ林がオオシラビソ(アオモリトドマツ)に変わり、高度を上げるにつれて次第に粗林になっていく。それにつれて体に感じる風の圧力が増していき、少し股を開いて歩かないと吹き倒されそうになることもあるようになってきた。
高度1200m、頂上まで約130mを残すだけとなったが、大きなシラビソの木陰でシールを剥がして往路を戻ることにした。4日間のうちで最も固くしまった雪面で思った以上に快適な滑りを楽しみながらの下山。あっという間に国道近くまで下りてしまった。このままではお迎え時間までずいぶん待たなければならない。そこで、ゆっくりと昼食を食べ、なかなか出来なかったビーコン訓練を行った。
城ヶ倉に戻って長々と露天風呂に入り、優雅な午後を楽しんだ。

<最終日>

 5/6(雨)ホテル城ヶ倉8:30-9:30青森空港-中部空港
 飛行機のチケットがとれなかったために午前中の帰名となったが不満はない。予定していたほとんどの斜面を滑ることが出来た満足感がまさっているからである。滑り残したのは小岳~猿倉温泉、赤倉岳東斜面、乗鞍岳東斜面といったところだが、またの機会としよう。
午前中はシャトルバスの便がなく、シャトルバスと同じ青森観光の貸し切りバス。12人で20000円だから少々割高のようだが、路線バスで青森駅経由で行くのとほぼ同額で、時間は短縮されているので割高ともいえない。かくして今年の黄金週間も終わった。