牡蠣のどんぶり茶碗蒸し2007/02/25 00:37

牡蠣をふんだんに使ったどんぶり茶碗蒸し


 最近、牡蠣が妙に安い。どうも、ノロウィルスによる風評被害で売れないことが原因となっているようだ。牡蠣養殖業者の方々には誠にお気の毒なことだ。
 近くの小さな地回りスーパーマーケットで、一袋400円はするはずの中袋が300円。それでも売れ残って200円になってしまったものを2袋買って帰った。袋を開けて、さっと水で洗ってから薄い塩水につけて30分ほど養生した。大粒の上等な牡蠣だ。さて、何で食べようか?
 牡蠣フライは先週食べたばかりだったので、今日は茶碗蒸しとバター焼きで食べてみることにした。レシピは以下の通り。残念ながら、バター焼きのほうは写真を撮らないうちに食べてしまった。
 牡蠣の鮮度は上々で、どちらも絶品のできあがりとなり、今夜の夕食は至福の時となった。

    <どんぶり茶碗蒸し>

1)卵2個を泡立てないようにときほぐす(約120g)。
2)作り置きしてあったソバツユをお湯で約2倍に薄めたものを120ml作った。
3)①と②をどんぶりに入れて合わせた。
4)大粒の牡蠣を5個加えた。
5)庭で栽培しているネギの白い部分をざく切りして加えた。
6)皿でフタをして、中火で20分蒸した。
7)この段階で、ネギの青い部分をきざんで加えて、再び3分蒸して出来上がり。

    <牡蠣のバター焼き>

1)大粒の牡蠣10粒に黒こしょうをたっぷりと振りかけた。
2)フライパンにバター30gを溶かし、ゲランドの塩少々を加えて加熱。
3)そこへ牡蠣を入れて、やや強火で両面を焼くように炒めた。
4)牡蠣が70~80%に縮んだ頃に、牡蠣だけをとりだして皿に盛りつけた。
5)残った汁を煮詰めていき、さらに白ワインを加えてトロンとしてくるまで煮詰めた。
6)⑤で出来たソースを牡蠣の上にかけて出来上がり。
7)フライパンにこびりついているソースの残りにご飯を加えて絡めて食べたら、これもなかなかのごちそうとなった。

ダーウィンの悪夢2007/02/27 00:40

<映画「ダーウィンの悪夢」を見た>

世界第3位の湖・ビクトリア湖。そこには多様な固有種が生息し、「ダーウィンの箱庭」と呼ばれてきた。中でも淡水魚シクリッドは、100万年ほどの歴史の中で200種以上に分化を遂げ、進化論研究者から注目を集めている。この湖に、50年ほど前にバケツ一杯の外来種が放り込まれた。肉食魚ナイルパーチである。
それから50年、ナイルパーチは猛烈な増殖をとげ、シクリッドを絶滅寸前に追い込んでいる。まさに「悪夢」なのである。一方、岸辺ではこの巨大魚を獲り、加工する産業が発展し、多くの漁民、労働者が集まり、様々な物語が展開している。カメラは、タンザニア領にあって湖岸の町ムワンザで、ナイルパーチに関わる様々な人々と出会いインタビューしていく。映画制作者が記録しようとした悪夢は、シクリッドの絶滅ではなく、人間社会のほうの「悪夢」であるらしい。
まず驚かされるのは、巨大なナイルパーチだ。大きなものは体長2mにも達する。おそらく50~60kgくらいあるのではないだろうか。まるで豚なみのボリュームだ。その巨大な魚体が、洗練された加工工場で次々とさばかれていく。ムワンザ最大の加工工場だと自慢するタンザニア人社長の話では、1000人の従業員が働いているそうだ。起業にあたっては、世界銀行やIMFの金が融資されたとのことであった。
 パーチは3枚おろしにされ、フィレはヨーロッパ諸国へ運ばれる。タンザニア人には高くて買えないのである。骨や頭はタンザニア人用に運び出され、ハエまるけ、蛆まるけで乾燥されたり、油で揚げたりしてマーケットに出る。「ナイルパーチはシクリッドを絶滅に追いやっているかもしれないが、アフリカに雇用と食料をもたらし」たとする現状肯定派の主張の裏面があばきだされてゆく。
ムワンザからだけで毎日500トンがヨーロッパへ出荷されるという。フィレを運ぶ大型飛行機には1機あたり50トン積めるそうだから、毎日10機が飛んでいることになる。そのパイロットの多くはロシア人だ。映画の冒頭でロシア民謡が流れ、湖面に映る機影をゆっくりとカメラが追うのは、このドキュメンタリーの取材の縦糸がロシア人パイロットと大型輸送機イリューシンだからだ。
 映画は、このロシア人に粘り強くインタビューを繰り返し、タンザニアに飛来するときに何を積んでくるのかとせまる。とりあえずの回答は「空荷で飛んでくる」だったが、次第次第に、それが武器であり、ムワンザを最初の経由地として、アンゴラやソマリア、ルワンダ、コンゴなど内戦が続く国々に運び込まれていくのだという実態をあぶりだしていく。すなわち、ナイルパーチを巡る渦は、まずビクトリア湖の生態系を破壊し、ヨーロッパ人の飽食を満足させ、アフリカの民に新たな格差をもたらし、武器を運び込んで内乱を激化させてアフリカの民の生命を脅かしているのである。
 ロシア人パイロット達のためのナイトガール達やストリートチルドレン達へのインタビューでは、ヨーロッパの国々の食い物にされてきたアフリカの民の悲哀と、かなわぬ可能性が大きい希望とが語られていく。ナイトガールの一人、エリザベスはコンピューターを勉強しに学校へ行きたいと語る。その彼女が歌う「タンザニア讃歌」の美しい歌詞とメロディーは、つらい現実との極端なコントラストをみせ、パーチに食い尽くされて姿を消そうとしているシクリッドたちと重なって、心にしみる。
 そういえば昨日、近所の小さなスーパーマーケットで「タンザニア産のスズキ」の切り身が並んでいるのを見た。一切れ100円だった。100円寿司の白身魚にもナイルパーチが使われているらしい。我々日本人も、シクリッドとタンザニアの民の悲惨に手を貸しているのだ。