田をつくる2009/02/19 16:39

長井市レインボープランコンポスト工場

山形県長井市は生ゴミの完全コンポスト化とそれを利用して栽培された野菜や米、その加工品としてのお酒が生ゴミを出した市民によって購入される循環を達成した町ととして名高い。レインボープランと名づけられている。その町で、花崎 皐平さん、村田久さんが呼びかけたシンポジウム「田をつくる」が2泊3日の豪華日程で開催された。

シンポの主役は、レインボープランの仕掛け人たちである。構想から7年目にして立ち上がり、ちょうど10年が経過した。人口は約3万人。都市部に5000戸、農村部に4000戸があり、都市部5000戸から出る生ごみが完全に回収されて堆肥になっている。
しかし、仕掛け人達が異口同音に言うのは、「レインボープランはゴミのリサイクル運動ではない」であった。単なる町興しというのでもない。この国のくるった食、くるった農、死せる土、そうしたものをよみがえらそうという、まさに世直し運動なのである。

テレビで報道されたりして、すでに全国から3万人の見学者がこの町を訪れている。しかし、この町が進めている循環運動が波及して、他の地域に飛び火した実例を未だ聞いていないという。おそらくは、地方議員の政務研修旅行や地方自治体職員の見学出張などが多かったはずである。この人たちに、長井流の世直し理念が響かなかったのだろうか。

他所者として、小生から木曽川流域での活動報告を行った。
御嵩町での産廃処分場反対運動、その後の木曽川水トラストの活動、流域自給を目指す大豆畑トラストの活動などの紹介であった。

田をつくる(2)2009/02/19 17:02

堆肥化工場内部(右端が花崎 皐平 さん)

生ゴミと畜糞とモリガラを混ぜて発酵させる。混入する異物はごくわずか。市民にプランの意図が十分に伝わっている証拠である。
ここで出来た堆肥は、契約農家(37戸-2007年度)が購入する他に、
10キロの袋詰めとなって、一般市民の園芸や家庭菜園用に販売されている。

発酵が未熟な時期の悪臭は土壌脱臭法で処理されていた。
ただ、この施設の耐用期限が迫っていて、更新予算の見通しが立っていないのが目下の最大の悩みだということであった。創設時は、農林水産省の50%補助事業(+県補助9%)で、長井市の出費は1億6000万円ほどだった。

田をつくる(3)2009/02/19 17:13

長井市は東北屈指の名峰・朝日連峰の前衛の尾根と最上川に囲まれている

田をつくる(4)2009/02/19 18:37

虹の駅

レインボープラン認証野菜、果物が並んでいた。
連携している水俣の無農薬夏みかんも並んでいた。

地元の醸造会社「東洋酒造」が「甦る」という純米酒を
レインボープラン認証酒としてつくっている。これがとてもおいしくて、
6本入りを注文する人も出た。
酒蔵の見学もさせてもらい、醸造樽から直接にヒシャクでくみ上げたものを御馳走になった。これが実にうまい!下戸の小生も、1升買ってしまった。

田をつくる(5)2009/02/19 18:44

漆工房にて

レインドープラン仕掛け人のひとり、
江口さんの工房を見学させてもらった。
置賜地方では唯一の漆職人だという。

レインボープランが成功するためには、
ばか者、よそ者、若者のエネルギーが必要だった。
「そのばか者の一人が私です」とおっしゃっていた。
素敵なおばあちゃん(江口さんのお母さん)の山形弁にも聞きほれてしまった。