ツブカル山とモロッコの旅(6)2006/11/04 19:07

オリーヴ

マラケシュでは、オリーブも街路樹になっていた

ツブカル山とモロッコの旅(7)2006/11/04 19:08

イムリル村
(沢沿いにだけ緑が伸びている)

<第2日目>

9/17 午前中:市内見学 午後:ツブカル山麓イムリル村Imlilへ
 
今回は初めてのイスラム圏の旅という事で、旅の前半は、カサブランカのツアー会社キャラヴァンヴォヤージュCaravan Voyages社(日本人経営)に手配を依頼した。後半は自力でフリーに歩く計画である。
今日の午前中はマラケシュ観光。手配でやってきたのは学生風のガイド君である。英語はとても達者だがやる気がないのが玉に瑕。昨夕自力で歩き回ったメディナや美しいミナレット(モスク付属の尖塔)Koutoubiaのあたりを、いかにも気がなさそうに案内してくれた。それでも、土産物屋に案内してリベートを取ろうとかいう気配は全くなく、オリーブ油の精製方法など実に詳しく説明してくれたので合格ということにしておこう。昼食でレストランに入ったところでお役ごめんとばかりにチップも受け取らないうちに消えてしまった。けっこう良い男だったらしい。
午後はいよいよツブカルへ向かって出発。登山ガイドは現役の学生だというカリッド君。ベルベル人だ。もっとも、我々には外見からベルベル人とアラブ人の区別は全くつかない。運転手はスリマン君。車はやっぱりトヨタのランクルであった。このスリマンが話好きで、まず出たのが「日本は何故イラクへ軍隊を送ったのか?」だった。この質問は今回の旅で数回出ている。イスラム圏の連帯感であろうか、それにしても日本のイラク出兵は20番目以降だったのにこの話題が出るというのは凄い。続けてスリマン語録を紹介すると、「日本はテクノロジーはすごいが外交はてんで駄目だなぁ」であった。
マラケシュから1時間ほど走ったところで幹線からはずれて、舗装のない川沿いの道をさらに1時間ほど走ってイムリル村に着いた。辺りは緑が少ない茶褐色の山肌が続き、その谷底に茶褐色の土壁の家が建っているので全く目立たない村である。地中海沿岸の町では建物の壁はほとんどが真っ白、すなわちまさにカサブランカ(「白い家」の意)なのであるが、内陸部に入ってくるとほとんどが保護色の茶褐色に塗られている。日干し煉瓦の建物だけでなくコンクリートの家でも外壁は同じ色に塗られているのである。
村にはCAFフランス山岳会の小屋があるが、我々はキャラヴァンヴォヤージュが開拓したというゲストハウスに泊まった。ゲストハウスといっても、流しがあるだけの厨房とベッドルームが5~6部屋、それに冷水シャワーがあるだけであるから山小屋と大差はない。物置に旧型のジルブレッタがついた山スキーの板が何本か立てかけられていた。部屋には雪山をスキーで滑っている写真がはってあった。ツブカルの冬は山スキーの対象であるらしい。夕食はカリッドが持ち込んだコンロと食料で作ってくれた。やはりタジンである。スープや野菜サラダもある。
村の中を散歩してみた。ちょうど新学期が近いようで、行商人が教科書やリュックサックを売りに来ていた。野菜でも売るように道端にシートを敷いてノートや教科書を並べている。買ってもらった子供たちが、真新しいリュックを背負ってうれしそうに山道を駆け上がって行く。

ツブカル山とモロッコの旅(8)2006/11/04 19:19

イムリル村付近
(背景の山肌の色と同化するように茶褐色に塗られた壁の家が並ぶ)

ツブカル山とモロッコの旅(9)2006/11/10 22:48

広い河原を行く
(後姿はガイドのカリド君と糸土)

<3日目>

9/18 (快晴)イムリル村(1730m)8:00-10:20土俗信仰の祠(昼食 2260m)10:30-14:05ネルツナー小屋Neltner Hut(3207m)
 朝、馬子のマフメッドがやってきて、我々の荷物や食料、厨房器具を馬につけて先発していった。今日の行程はけっこう長い。落差が1500mもあるなが~い谷歩きである。二つ目の村では胡桃林で木に登った村人たちがさかんに棒で胡桃を叩き落していた。そのあたりから、チェコから来たパーティーと抜いたり抜かれたりしながら楽しく登った。きれいな娘さんは首都の図書館員だという。
 大きな岩の横に祠があり、周辺にバラック建ての食堂が数軒。その中の1軒で昼食が用意されていた。豊富な野菜サラダ、イワシの缶詰とご飯がなかなかおいしい。1時間かけてゆっくりと食べた。
 やがて軽い頭痛がしてきた。標高が3000mを超えたからである。そうこうするうちに谷の奥に石造りの大きな小屋が見えてきた。今夜の宿所、フランス山岳会CAFのネルツナー小屋である。ワンベッドワンパーソン、清潔な毛布、オートルート縦走の時に泊まった山小屋と同じである。違うのは台所、各パーティーが持ち込んだコンロで持参の食料を調理する。我がパーティーの料理人は馬子のマフメッド。今夜のメインディッシュはやはりタジンであったが、モロッコに来て一番良い味であった。

ツブカル山とモロッコの旅(10)2006/11/10 22:51

りんごが美味しそうに生っている。
(ネパールのカリガンダキを思い出す)