2006-11: 緑亭通信

ツブカル山（4167m）とモロッコの旅 ― 2006/11/03 10:33

ネルツナー小屋
（ツブカル山頂へは小屋の後ろ、エンドモレーンの急な斜面を登る）

<ツブカル山（4167m）とモロッコの旅>
―Maroc・Toubkal 2005―

ジブラルタル海峡をはさんで、二つの山脈が同じ方向にはしっている。スペイン側はシェラネバダ山脈、モロッコ側はアトラス山脈である。アトラス山脈の最高峰ツブカル山Toubkal(4167m)は北アフリカ最高峰というふれこみで日本のトレッキング旅行各社も商品化している。今回はこのツブカルに登るのが主目的で、付録としてサハラ砂漠や世界遺産に登録されているいくつかの都市のメディナ（旧市街）を見物する旅となった。

期間：2005年9月15日～28日

9/15～16　関空23：15－5；10ドバイDubai 7：35－12：10カサブランカCasablanca13：00－16：00マラケシュMarrakech (ホテル：EL ANDALOUS)

　一昨年のキリマンジャロ登山の時と同じエミレーツ航空に乗って、ドバイ経由でカサブランカへ。アラブ首長国連邦UAEのＥはエミレーツ（首長）のＥである。オイルマネーであふれかえる国らしく、飛行機は新しくサービスも上等である。来年からはエミレーツが中空に乗り入れるらしいが、現在は関空便しかない。東京の客を無料で大阪まで運んで乗せている。その便を使って、東京出張だったパートナーが羽田から飛んできた。
　マラケシュに着くと手配してあった車（トヨタのランクルだった）が待っていた。中年の実直そうなラシッド君の運転で一路マラケシュへ。約250ｋｍある。ゆるやかな起伏があるものの平坦な穀倉地帯をアトラス山脈目指して南下する。まだ乾季なので作物はなにもなく、赤茶けた広大な畑がどこまでも続く。道端にはユーカリが植えられている。10月になると雨季が始まって小麦やとうもろこしが蒔かれて、一面緑色に変わるのだそうである。
気温はクーラーをかけるかかけないかの境目ぐらい。車の窓を開けながらかなりのスピードで走る。時々、強引な追越しをかける対向車がいてひやりとさせられる。サッカーワールドカップの話が盛り上がり、中田や中村はモロッコ人にも知られていることがわかった。
　かなたに高い山並みが見え始めたころマラケシュ到着。早速部屋に荷物を置いて、散歩に出かけた。街路樹はオリーブかデーツ（ナツメヤシ）、どちらもたわわに実がついている。まずは世界遺産に登録されているメディナ（旧市街）を目指す。メディナの入り口がフナ広場Djemaa el Fna。民族衣装をまとったベルベル人の大道芸人たちが楽器をひいたり踊ったり、コブラを操ったりでにぎやかである。別に特別な日というわけではなく、毎日がこういうにぎわいらしい。
　メディナの門を入ると、細い路地が縦横に走り、小さな商店がぎっしりと軒を並べている。ガイドブックによれば世界最大とかのスークである。大阪のJR鶴橋駅のガード下の韓国市場とよく似ているがスケールはこちらのほうがはるかに大きい。香辛料をてんこ盛りにして並べている店でクミンパウダーと黒胡椒を500ｇずつ買った。上等なデーツを味見させてもらうと、ねっとりと甘くて羊羹か干し柿のようである。ついついこれも500ｇ買ってしまった。旅の始まりだというのに・・・
　フナ広場に戻るとすでに夕暮れ、ちょうど満月が昇ってきて、ベルベル人のお祭り空間の上にぽっかりと浮かび、なかなかの風情である。
　ホテルへ戻って夕食。今夜はモロッコ料理のバイキングである。とうもろこしの粉をゆがいたものに肉や野菜の炒め煮をのっけたクスクス、肉と野菜を土鍋で蒸し煮したタジン、モロッコサラダ・・・残念ながらどれもまずい！香辛料がやたらきいているが味がない。これがモロッコの標準料理だとすると、旅の前途は暗い。ボーイの態度も著しく悪い。ベルベル人の生演奏とおなか丸出しの女性のベリーダンスもうるさいだけでいただけない。小瓶1本で30DH（ディラハム：1DHが約10円）もとられたビールもぱっとしない。