名古屋に生物多様性センターを2009/08/19 23:24

中日新聞2009年8月18日(名古屋版)掲載記事

このところ、生物多様性条約締約国会議COP10関連の活動にかなりの時間を割いている
ひとつは、市民サイドのネットワーク「CBD市民ネット」の活動であり、
もう一つは、
名古屋市に自然史博物館に準ずる「生物多様性センター」を設置させようという提言運動であり、それに付随した名古屋市とNGOとの協働事業としての「ため池調査事業」である。

その流れの中で、中日新聞から生物多様性センターに関して記事を書かないかというオファーがあった。
しかし、制限字数が1300字!
短文は大の苦手の小生である。しかも時間が限られている。
まずは2000字ほどの原稿を書いておいて、それを1300まで削り込むという手順で作業を進めた。

名古屋に生物多様性センターを(2)2009/08/19 23:37

生物多様性条約に関して書いておきたいことはたくさんあるが、
今回は名古屋市生物多様性センター創設の提言に限定して書いた。
これ以外に言いたいことその1は、
アメリカが条約を批准していないことである。
国連加盟国が200に満たない中で、191カ国が批准しているのに
アメリカは何故批准していないのか?
最大の理由は、ABS(Access and Benefit Sharing:利用と利益の公正衡平な分配)である。
途上国から遺伝子資源を持ち出して利益を得た企業に対して、
途上国側から利益配分要求が出されている。先進国企業は
知的所有権をたてにとって、配分をしたくない。アメリカ政府は、
自国内のそうした企業の利益を守ろうとしているのである。
名古屋で来年開催されるCOP10では、このことが最大の論争課題になるといわれている。

もう一つは、遺伝子組み換え作物のことである。条約は、組み換え作物を外来生物と同じように国境越えに制限を加えている。カルタヘナ議定書がそれである。この問題では、アメリカの意を汲んだ日本政府が
制限緩和で暗躍している。kのため、昨年ボンで開催されたCOP9では、海外NGOから「Hostile Host 敵対的なホスト国」「次期開催国は、日本でなければどこでもいい」というビラを撒かれたのである。

名古屋に生物多様性センターを(3)2009/08/19 23:53

ブラジルのクリチバで開催されたCOP8では、
生物多様性に関する「都市の責任」が宣言に盛り込まれた。
生態系サービスの恩恵を享受する都市には、
生物多様性豊かな生態系が存在する地方、あるいは、途上国に対して、責任があるということである。
名古屋市、愛知県で言うならば、
木曽川や庄内川、矢作川の上流域および伊勢湾三河湾の
生態系維持、生物多様性の保全に関して、お金を出せと言うことである。
来年の会議まで、わずかに1年しかないが、
このことを訴え、また、制度的ななにか、例えば、
水源基金などの実現に向けて、大きな流れをつくっていきたいものである。